難聴と認知症

令和8年1月22日 第55回山陽小野田市民公開ミニ講座 

耳鼻咽喉科タハラクリニック

田原 康彦 



 2024年イギリスで創刊される世界最高峰の総合医学雑誌 「Lancet」の認知症予防に関する報告で難聴、高脂血症、うつ、頭部外傷、運動不足、糖尿病、喫煙、高血圧、アルコール、肥満、社会的孤立、大気汚染、視力低下が危険因子として考えられますが、 最大の危険因子は、難聴と発表されました。その要因として、聴力低下による脳刺激減少が減少すること、聞き取りに過度な情報収集力を要し思考、記憶に要する脳の余力が減少すること、聞こえにくいことで対話への参加を躊躇し社会的孤立が増えることが考えられます。

難聴高齢者を対象にした、補聴器装用と聴覚リハビリテーション介入で全体的認知能力低下を有意に抑制することはできませんでしたが、心血管リスクなど認知症リスク因子を有する人々のうち、48%では認知機能低下が抑制されました。つまり、リスク因子が高いほど補聴器装用が、認知能力の低下を減少させる可能性が高くなると推測されます。

補聴器所有者、体験者のなかで「音が響く」「使っても言葉の聞き取りが良くない」等、不満を多数聞きまが、試聴した機器が補聴器ではなく、すべての音を大きくする集音器であった場合、補聴器の調節には高度な知識、経験が必要で認定補聴器技能者と言う資格がありますが、それ以外の方によるフィティングで、あらゆる状況での聞き取りに対応できず、補聴器 が有効に使用されていない場合等あります。まずは、耳鼻咽喉科の補聴器相談医(耳鼻科医の中で補聴器に関する知識、経験を積んだ医師の事ですが、幸い山陽小野田市の常勤耳鼻科医は全員この資格を取得しています)で診察、検査を受け、治療可能な聴力かどうか(耳垢が耳を塞いでいる場合があります)、補聴器により聞き取りがどの程度良くなるかを調べる検査(語音聴力検査)で補聴器の有効性を判断の上、適切に補聴器調節、その後の対応ができる人(認定補聴器技能者)、対応できる施設(認定補聴器専門店)で試しに補聴器の音を聞いていただくことが有効と思われます。試したうえで、さらに調節し、これまでより聴
力によるコミュニケーションに有効と感じられた時点で購入を検討されたら良いと思います。

山陽小野田市では、加齢性難聴者補聴器購入費助成事業が行われています。市内在住で65歳以上、市民税非課税、両耳40デシベル以上で医師が補聴器装用を必要と認めた方が対象となります。身体障害者手帳交付を受けた方と、すでにこの助成制度交付者を除きます。詳しくは市ホームページ「山陽小野田市加齢性難聴者補聴器購入費助成事業」で詳細を御確認下さい。

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