第56回 山陽小野田市民健康ミニ講座   令和8年3月26日 

ねもと皮ふ科クリニック 根本 圭

日本は世界でも有数の長寿国となりましたが、健康に自立して生活できる「健康寿命」を延ばすことが大切になっています。皮膚病でも生活の質、さらには健康寿命にも大きく関わるものがありますので、軽く考えず、早めに対処することが重要です。講演では、まず爪白癬(爪水虫)についてお話ししました。爪白癬は高齢者に多くみられる病気ですが、「見た目だけの問題」と考えて放置されることが少なくありません。しかし、爪が厚く変形すると歩行が不安定になり、転倒しやすくなります。骨折し寝たきりになると要介護状態への入り口となってしまうかもしれません。また、水虫(足白癬)は小さな傷の原因となり、そこから細菌感染を起こして蜂窩織炎に至ることもあります。特に糖尿病の患者さんでは重症化し、皮膚潰瘍や壊疽に進行し、生活に大きな支障をきたすこともあります。
爪白癬の治療には塗り薬と飲み薬があります。塗り薬は全身への影響が少ない一方で、長期間の治療を要します。飲み薬は3〜6ヶ月と短期間の治療ですが、肝機能障害がないか血液検査での確認が必要です。患者さん一人ひとりの生活環境や体調に合わせて治療法を選択することが大切です。市販薬では治りませんので皮膚科で正しい治療を受けることをお勧めします。
次に帯状疱疹についてご紹介しました。帯状疱疹は加齢とともに発症率が高くなり、強い痛みを伴うことがあります。発疹が出てから治療開始までの時間が重要で、受診が遅れると神経痛が一生続く場合もあります。「様子を見よう」と考えず、違和感や痛みを感じたら早めに受診することが大切です。
現在は予防効果の高いワクチンも利用でき、自治体の助成制度を活用することで費用負担を軽減できます。発症予防だけでなく、重症化や後遺症の軽減という観点からも、ワクチンは有効な選択肢となっています。
最後に、高齢者に多くみられるシミ(老人性色素斑)やイボ(脂漏性角化症)についてもお話ししました。皮膚に生じた黒褐色斑の多くは良性ですが、皮膚がん(基底細胞癌・悪性黒色腫)と見分けが難しいものもあります。急に大きくなったり、色が変わったり、出血したりするものは要注意です。
皮膚は体の健康状態を映す鏡でもあります。日頃から皮膚の状態を観察し小さな変化に早く気づき、適切な治療や予防を行うことが、いつまでも元気に、自分らしく生活するための第一歩です。気になることがあれば、「年齢のせいだから」と自己判断せず、気軽に皮膚科へご相談ください。